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暁の星と月
第3章 暁の天の河
…次に暁が意識を取り戻した時には、大紋が心配そうに貌を覗き込んでいた。
「…あ…」
「気が付いた…?良かった…」
大紋の端正な貌が安心感に柔らぐ。
春馬さん…と、口を開こうとしたが声が掠れて上手く言葉にならない。
「水を飲みなさい」
すかさず、大紋が傍らの小机の上の水差しからグラスに水を注ぐ。
その水を口に含んだかと思うと、抱き起こした暁の顎を引き寄せ口移しで飲ませた。
「…んっ…はあ…」
冷たく冷えた水が渇ききった暁の口内や喉を潤してゆく。
「…もっと飲む?」
暁が頷くと、大紋はまるで親鳥が雛に餌を与えるように、少しずつ水を与えてゆく。
「…あ…んっ…春馬さ…」
暁の喉の渇きが癒えたのを確認すると、大紋は大胆に舌を絡め、未だ鎮火しない暁への欲望と情熱を表すかのような濃厚なくちづけを繰り返した。
最初はぼんやりした意識の中で、淑やかに応えていた暁だが、くちづけのあまりの激しさに呼吸が続かなくなり、切なげに抗議の声を上げた。
「…んっ…もう…くるし…」
大紋が名残惜しげに唇を離し、詫びるように抱きしめる。
「…ごめんね、暁…」
そして、額をくっつけながら苦笑する。
「…初めてなのに、酷くしつこくしてしまったね」
暁は睫毛が触れ合いそうな距離で恥ずかしそうに見つめる。

一度目の性交の後、意識を失っていた暁だが、暫くして気がつくと、大紋は再び暁の身体を求めてきた。
「…すまない…暁がまだ欲しいんだ…」
「…春馬さ…ん…」
大紋が慎重に扱ってくれたお陰で、暁の身体はどこも傷ついていなかった。
それどころか初めて男を後肛で受け入れたと言うのに、暁は大紋によって既に快楽を与えられたのだ。
大紋への感謝の気持ちがひたひたと胸に溢れる。
愛されている喜びに暁は微笑んだ。
「…いいですよ…何回でもしてください…」
…春馬さんなら…構わない…と、遠慮勝ちなキスをしてきた暁に大紋は、怒ったようにその可憐な唇を貪る。
「…君は…!…本当に無意識で男の欲望に火を点ける…何て子だ…!」
「…何で…んっ…あ…っ…んんっ…!」
何故そんなに憤られるのか分からず、無垢な眼差しを向けるのにも大紋は胸が苦しくなるほどの愛しさを感じる。
「…酷い男だね…僕は…。まだ17歳の男の子にこんなことをして…礼也に知られたら…殺されるかもな…」
暁の潤んだ瞳が男を見上げる。
…無意識に誘うような眼差しだ。



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