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暁の星と月
第3章 暁の天の河
翌日、暁はさすがに一日中起き上がれずに、ずっと大紋の部屋のベッドで寝んでいた。
家政婦達に不審がられるから自室に戻ると言う暁を押しとどめ、
「ここで寝なさい。何も気にしなくていいから…」
と、大紋は優しく介抱してくれた。
そして、済まなそうに何度も謝った。
「本当に…ごめんね、暁…」
「…いいですよ、そんなに謝らないでください」
暁は柔らかく笑う。
「…どこか痛くない?本当に大丈夫?」
大紋は兄、礼也に似てとても心配性だ。
「大丈夫です。…あのあと…春馬さんがお風呂に入れてくれたし…」
と、言いながら…思い出したのか、暁は顔を赤らめる。

「…お腹の中をそのままにして体調を崩すといけないから」
明け方、大紋は暁を抱き上げて中庭にある露天風呂に連れ出した。
ここ軽井沢では、浅間山から引いた豊富な湯量の温泉が富裕層の別荘には設えられているのだが、大紋の家も例外ではなかった。
桧造りの風雅で趣きのある露天風呂が目の前に現れた。
東の空がやや明るくなった中で露天風呂に入るのは恥ずかしくて
「…一人で洗えます」
と言ったのだが
「だめだよ。綺麗に洗い流さないと…」
と大紋は譲らずに、一緒に湯に浸かることになったのだ。

暁を優しく湯船に入れたあと、大紋は洗い場でローブを無造作に脱ぎ捨てる。
ランプの灯りに照らされた男の裸体はギリシア彫刻のように均整が取れ、美しく雄々しかった。
…この人に抱かれたんだ…
先ほどまでの生々しい性の営みが脳裏によぎり、暁は頬を赤らめる。
俯いて湯に浸かる暁の側に、大紋が近寄る。
「…痛くしなかったかな」
気遣わしげに暁の身体を確かめるようになぞる。
その柔らかな触り方にぞくりと肌が粟立つ。
「…大丈夫です…」
大紋の声がふいに低くくぐもる。
「…見せて…」
「…え?」
「…立って…湯船の縁に掴まって」
傷ついていないか中が見たいと言われ、暁は羞恥から首を振った。
「…い、いやです…恥ずかし…」
大紋が優しく背中から抱きしめる。
「…あ…っ…」
「…恥ずかしくないよ…暁の中は誰よりも僕が知っているから…」
端正な顔でさらりと言われ、暁は泣きそうになる。
「…や…だ…そんなこと…」
「知ってる?…君がそんな風に恥じらえば恥らうほど、僕は君に欲情してしまうんだよ。…暁が可愛いすぎて…」
大紋の熱い眼差しからは逃れようがなかった。











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