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契約的束縛・誘惑なる秘密
第7章 ミュンヘン-過去の遺恨
「‥‥‥っ!!」
「あっ美波!?」
「美波??」
本郷さんと宮野さんの声はもうかなり後ろ、私は脇目も振らずに走る‥‥仁科さんの怒りを感じた方向へ‥
こんな場所で怒りを表せたらダメ、怒りは仁科さんを冷たい盟主に変える、人を手に掛ける事を躊躇わない程に。
(‥‥‥居たっ、仁科さん!!)
殆ど人気の無い公園、その片隅に仁科さんと10人ほどの男達‥
その半分以上は仁科さんを取り囲んでいる‥‥‥無駄なのに‥‥‥
「コンラートっ!!」
仁科さんが手を出す前に‥‥止める為に私は声を上げる、これで仁科さんの怒りが少しでも収まってくれないと、私はまた強制的に仁科さんを止める事になってしまう。
「サザンクロス!?
来てはいけませんサザンクロス!!」
「‥‥‥えっ??」
仁科さんが私の方に振り返り来るなと言うのと、軍服を着て変装している男に私が掴まるのはほぼ同時‥
この人、格闘の心得がある、だって私を簡単に掴まえたもの。
「どういうつもりですか、ヨーゼフ・メンゲレ」
「君の知り合い‥‥それは調べが付いている、しかも片時も離れないほど‥
チャンスだとは思わないかね?
君を頷かせるチャンス‥‥コンラート・ゼクス?」