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契約的束縛・誘惑なる秘密
第8章 2人の盟主国外へ‥‥
「あ、ドイツから出るんだったら、一度ピアスを外さないとダメだった」
基本的に一般人を装う時はピアスは外す、それが暗黙のルール‥
日本で櫻澤さんがピアスをしていなかったのも、一般人と見せ掛ける為だったみたい‥‥‥‥‥
「‥‥‥櫻澤‥‥‥さん‥‥‥」
ピアスを外し、腕首に身に付けている細い金のチェーンのブレスレットに目を落とす‥
ブレスレットは普通の物だけど、そこに付けているのは‥‥ピアス‥‥‥
‥‥初めは1つだった‥‥
櫻澤さんのピアスを無くさないように、ブレスレットのチェーンに括り付け、その内に中央の階級ピアスが増えてブレスレットに付けるピアスが増え、今ブレスレットには4つのピアス。
櫻澤さんの形見のピアス‥‥
私の盟主のピアス‥‥
サザンクロスとしてのピアス‥‥
そして八神美波としてのピアス‥‥
「増えたね‥‥初めは1つだったのに‥‥」
中でも櫻澤さんのピアス‥‥
私の宝物、私の後悔、私の愛情
全ての思いが込められた、私に託されたこのピアス。
普段は気にしないようにはしている、ドイツに来た頃これを見て沈んでいた私を、仁科さんは辛そうに見ていた。
それを見る私も辛い‥‥
だからこうしてブレスレットに付け、常に身に付ける事で見ないように努力し、櫻澤さんの最後の言葉通り前に進む事を選んだんだよ。