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契約的束縛・誘惑なる秘密
第8章 2人の盟主国外へ‥‥
でも時々こうしてピアスを見ては振り返る、日本での日々を、櫻澤さんが居た頃の日々を‥
前に進めとは言われたけど、思い出を振り返るなとは言われていない。
「都合が良い解釈かな、みんな前を向いているのに私だけ」
仁科さんだって前を向いている、本郷さんと宮野さんも日本の頃を振り切って、別々の場所でしっかりとやってたのに、私だけ少し前を振り返ってるんだね。
「美波、少し良いです‥‥‥」
「‥‥‥あっ‥‥‥」
ベッドに座り、ピアスをブレスレットに付けようと手に持ったのと、断りを入れて仁科さんが入って来たのはほぼ同時、これは絶対に間違われたとは思う‥‥半分は当たっているけれど。
「‥‥‥美波‥‥‥」
「あ‥‥あの‥‥
ピアスをね、表に出るから外そうと思って‥‥‥」
また辛そうな顔をする仁科さん‥
違う、そんな顔をさせたい訳じゃ無いの、本当に偶然‥‥だったのに‥‥
「・・本郷さんと宮野から離れるのが辛いのであれば、ドイツに残って下さい美波」
「そうじゃないの‥‥
2人を押し切って香港に行きたいと言ったのは私だよ?
‥‥何故だろう、行かなければいけない気がする、だから行く事を選んだのだから、仁科さんのせいじゃ無いから」