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契約的束縛・誘惑なる秘密
第12章 香港ー記憶の彼方



「せめてタオルか何か‥‥」


収納スペースには何も入って無く、部屋に併設するシャワーブースを覗き見‥
そうしたらタオルくらいはあった、これで頬を冷やせるよ。



(でも‥‥何かを否定するよう‥‥
軽い人、そう思ったのに違うの??)


シャワーブースだって、必要最低限の物しか無く、ただ寝て起きるだけの家、そんな印象を受けてしまう‥
執着心が無いのか、執着する気が無いのか、ウードゥさんという人が分からなくなっていく。



「タオルはあったから頬は冷やそう?」


「‥‥ああ‥‥」


オープンキッチンまで戻り、冷蔵庫を見てみれば、氷くらいはあった‥
後はお酒とミネラルウォーターしか入っていなかったけど。


買い物の時のビニール袋を見付け、即席の氷嚢を作り、タオルはギリギリまで冷たく冷やしウードゥさんの所に持って来た。



「頬冷して?
痕になってしまうから」


「‥‥ああ‥‥」


受け取って、氷嚢入りのタオルを頬に当ててはくれたけど、この家に入ってからウードゥさんは殆ど話さない。



「‥‥‥ウードゥさん?」


「・・聞こえてる・・
ただな、この家の中だと何もかも空っぽに思えて来るんだ」


私に目を合わせようとすらせず、ただ天井を眺め‥‥
外に居る時とは粗か様に違うウードゥさんの態度‥‥空っぽって、これはウードゥさんの意思じゃない??


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