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契約的束縛・誘惑なる秘密
第14章 香港ーすれ違う心
ウードゥさんに気付かれていたなんて‥
サザンクロスと呼ばれた時の微かな違和感、それに気付くなんてズルい。
でも‥‥でも!
呼ばれたい名前を、たった一度でも良いから、呼ばれたいの‥‥美波って‥‥
「‥‥‥ウードゥさん、1つだけお願いしても良い?
一度だけで良い、私がそうしたくなったの」
「あ?
変な事じゃ無きゃ良いぜ??」
その言葉に私はまたウードゥさんの首に腕を回す、見られたくない、それを聞いてしまえば、私はどんな顔をするか分からないから。
「‥‥お願いは‥‥‥
"美波"って呼んで、私を抱き締めて‥‥
一度だけで良い、二度は言わない」
「・・・ミナミ??」
「っっ!!」
イントネーションは違うけど、美波と呼ばれて心も躰もビクッとしてしまう‥
唯一変わらないもの、それが私のこの名前。
「・・ミナミ・・好きだ・・」
「っっ!!
‥‥‥‥ ざわさんっっ!!!!
切ない声で言って、私を抱き締めてくれる、それに好きだって言葉も‥
これで十分、他に何も望まないよ私は。
うっかり櫻澤さんと溢してしまいそうになった、でも寸でのところで止まってくれた私の言葉‥
同じ声で同じ言葉を聞いて、反射的に出そうになっただけ、美波と呼んでくれただけで、私はそれを思い出に出来そう。