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第17章 日本ｰ漸くの下準備という受難

「えーと‥‥どうして膝の上？？」


「なんとなく‥‥私の気分です」


気分って‥‥
私は仁科さんが座っている椅子の、更に仁科さんの膝の上で横抱き状態、しっかり支えてはくれているけれど、こんな話の後にこれで良いの？



「‥‥‥美波‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥‥」


仁科さんの指が私の頬に触れる、でもその瞳は憂いを‥‥悲しみを含んだまま‥
こうして見ると、仁科さんが好きで言った訳じゃ無いのが分かる、仁科さんなりの決断、それがあの言葉だったって。



「美波、貴方は誰よりも正確に物事を見ます、ですが私達も人間なんです、時には迷い考え苦しい時もあります‥
私はそれを何れだけ繰り返して来たか、そして私の判断では不充分、だから美波にと言いました」


「‥‥仁科さん‥‥
仁科さんが泣くくらいだったら、本当に選択だけで良いんだったら‥‥私がやります、それで良いんですよね仁科さん？」


「泣いていますか私は？」


「また前のように泣いてます」


「泣いて‥‥
そうですね、美波にこんな事しか言えない私自身に嘆いているんでしょう‥
出来る事でしたら、美波の自由にさせてあげたい、こちらの方が私の本心ですが、そうはいかない今が辛いんです」


それが仁科さんの本心‥‥
私に対して優しい仁科さんは、本当はこんな事など言いたくないのが丸分かり。