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契約的束縛・誘惑なる秘密
第19章 日本ー周防一尊という男
∞∞∞∞∞
「‥‥‥私‥‥は‥‥‥」
仁科さんが明かした事実に私は戸惑っている、目の前に居る周防老が私の祖父だなんて、はいそうですかと私は受け入れて切れない。
ただ普通に親が居るのを望んだ子供時代、でも私の両親は私の前に姿を現す事は無かった‥‥
学校に通えば「施設の親無し子」と蔑まれ、稀に里親希望者に引き取られる他の子を羨ましく見ながら、私は両親が来てくれる事を願っていたの。
バカだよね、捨てた子供の前に現れる両親なんて居ない、そう頭では分かっていたけど、心は里親の話を拒絶する、そんな悪循環を繰り返し私は卒業と共に金沢を飛び出し東京へ、それから一度も金沢には帰っていない。
帰っても‥‥私の居場所はもう無い‥‥
養護施設の私の部屋だった場所も、今では他の子のもの、そんな理由で私は金沢から遠ざかった二度と戻らないと。
「そうか・・言葉にはしたが、ワシも孫の存在は実感が沸かぬ、とうやらこれはお互いのようじゃ・・
だが八神美波という名、ワシには何となく分かる気はする」
「‥‥何が分かるというんですか、私自身でさえ分からないというのに‥‥」
「・・昔北代が言っておった・・
『名の通り北を制し次は南を制したい、南は誰になるだろうか?』
南は美波と捉える事が出来る、北代を亡くした美登理は託したのではなかろうか名に込めて」