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契約的束縛・誘惑なる秘密
第23章 香港ー再びの二首龍
(それに……)
仁科さんがロンチャンさんを追えば、必然的に……ウードゥさんも……。
ちゃんとお別れをしたから未練なんて無い。でも、会う事を避けるなんて不可能じゃないのかな?
……その時、私は何を言えば良いのだろう。
「……では、その様に連絡します」
「…………」
仁科さんの声で我に返った。
今は余計な事より、みんなと力を合わせてツインドラゴンを何とかするのが香港に来た意味。
時々振り返っても、思い出は思い出に、此はウードゥさんの言葉。私だってそう思う。
◇
連絡を入れてくれたお陰で、みんなの希望通りに九龍と香港島のCross sels(クロスシールズ)中央が運営する地下CLUBに調教師として活躍出来るようになった。此も始めに香港に来た時と同じ。
ただ、マンションを拠点に二手に分かれるだけ。仁科さんは言わなかったけど、本郷さんと宮野さんの安全を考えた……そう思っている。
「また二階立てバスに乗れるなんて思わなかったかな?」
「サザンクロスはこのバスが好きですね」
「日本にもドイツにも無いもの。私だって楽しいという意思表示くらいあります……コンラート」
「楽しいですか。まぁ、そうですね、私にもありますよサザンクロス?」
危ない、危ない、癖で仁科さんって言いそうになる。
日本で茶髪黒瞳だったから、私が最初に見た仁科さんの姿だったから、どうしても……。
だけど割りきらなくちゃ、此処は香港、楽しくても遊びに来た訳じゃないって。