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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
「腕力だけが力じゃないよ。
宮野さんは、もっと別な事が得意じゃない」
「俺だって男なんだから腕力で勝負したい。
だけど俺って、本当ーっに身に付かないんだよ、あれだけルークに教えて貰っても全く変わらず」
「得意不得意はあると思う。世の中全員が腕力が強い訳じゃない、腕力は非力でも別……頭脳戦だと、宮野さんは負け知らずでしょう」
この部屋に置いてある端末、それが宮野さんの努力の証。ちゃんとやっているじゃない、宮野さんが落ち込む事なんて無いのに、宮野さんは腕力に固執する。
「上には上が居るんだよ。
俺に独自サーバーを教えてくれた人……早乙女会長と、そのお嬢さんには、構築でもハッキングでも敵わないんだ。
俺、やっぱり中途半端のまま」
「え?宮野さんの独自サーバーって……」
「アメリカに居た時、偶々なんだけどお嬢さんと会ったんだ。
それで理由を説明したら、クラスター社が個人向けにレンタルしている独立型のサーバーがあるって聞いて、調教師で出た報酬全てをそれに注ぎ込んだんだよ」
初めて聞く宮野さんのアメリカ話、それも仁科さんと同じ早乙女関係を使っていたなんて、世間は狭いというか皆世界中を歩いているんだね。
「それでも、此処までにしたのは宮野さんだよ。
サーバーは借りれたかも知れないけど、中身は入っていたの?違うでしょ。
宮野さんが、一から作ったんだよね?」
「それは……そうだけど。
管理もアップデートも向こう任せで、俺は良いとこ取りだけしているって考えちまう」