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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠

本郷さんと宮野さんが襲われてから、私達の心はバラバラ。
仁科さんは考え込む事が多くなり、ルークは本郷さんが外に出たいと言わない限り、マンションにすら姿を見せない。

襲われた後、仁科さんは本郷さんと宮野さんに条件を付けたの。
『外出する時は、必ずルークと一緒に行動する事』
二人の身の安全の為なのは分かる。でも半ば無理矢理な監視みたいな事に、本郷さんも宮野さんも良い顔はしていない。

……どうしたら、今まで通りに戻れるの?
大切な仲間と日本へ、それが私達の約束だったのに、みんな揃っても問題の方が山積みで、目的の通りにはいかないなんて想像出来た?

「……食べないんですか美波?」
「あ……うん、あまり食欲が無くて……」
「少しでも腹に入れんと保たんぞ?」
「それは分かってますけど、どうしても箸が進まないんですよね」

此からショーなのに、食べなきゃ体力が保たないのに、私の箸は持った時のまま一つも動いていない。
食べるより考え事が多くて、こうした隙間の時間でも考えてしまう。
バラバラになってしまった心を、元に戻す方法を探して。

(そう、ミングイさんなら、何か知ってそう。
だけどこんな時に、九龍の裏路地に行くのを許して貰えるかな?)

襲っているのは一人ではない可能性、それがある限り危ない裏路地に行くのは、仁科さんが頷いてくれないとは思う。
仁科さんは、心配し過ぎるくらい心配する人だもの。

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