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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
(全て知っていたんだな)
あの世に過去や未来があるのか自分には分からないが、パウリーネの言葉はこういう事だった。
だけど……。
「もう笑い方すら忘れてしまった……そう思います」
あれから100年近い時の流れは、自分から色んなものを持って行った。
忘却という方法で、自分は今の時を生きている。
そうでもしなければ、この人よりも長い人生は辛い、決して口には出せない自分だけの思い。
「じゃあ思い出して?
私はその手伝いしか出来ないかもだけど、切欠は作ってあげられる。
……少し屈んで欲しいかな?
みんなほら、背が高いから届かないの」
「???」
切欠?
屈む??
何故とは思わなくもないが、八神様の言う通りに自分はその場で跪く。
此で何があるというのか?
「…………盟主から最大の祝福をルークに。
ずっと笑っていられますように、これ以上ルークが悲しい思いをしませんように、私から祝福を贈ります」
「八神……様……」
顔が近付いたと思えば、言葉と共に額に八神様の唇が触れる。
心が暖かくなるような不思議な感覚、盟主からの祝福と言ったが自分は初めての事。
「ご利益があると仁科さんから。
えっ?ルーク??
仁科さんに祝福の言葉を受けた事が無いの?」
驚く自分を見て、八神様も驚いたらしい。
祝福の言葉、自分は仁科様からは受けていない。
「仁科様からは……。
そもそも男同士でこれは……」
「男性同士だと、親愛の頬キスだって聞いたのに、仁科さんの……意地悪!」