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契約的束縛・誘惑なる秘密
第25章 香港ー囚われの美波


ショーは何時も通り無難に終わらせましたが、気になるのは客席に居たミン・ロンチャンとヂャン・ミングイの事です。

「どう考えても、私への挑発でしょうね」

ショーの最中、ミン・ロンチャンは唇だけ動かし、私に合図を送った。

『ト リ カ エ シ テ ミ ロ 』

唇の動きを読めない私ではない、向こうも私が分かるだろうと、あんな仕草をしたに違いなく、ヂャン・ミングイを使っての粗か様な挑発行為と見て良いでしょう。

(イェンフィを助けたのが、私とは気付いていない筈。
だとすれば、金の調教師コンラート・ゼクスとして、わざわざ仕掛けて来たと考える方が自然)

ツインドラゴンに、私達が香港に戻って来ていると知れているでしょうが、それにしても行動が早すぎる、私はそう思います。
それにミン・ロンチャン自身が出て来るとなると、その裏事情は?

「勘繰り過ぎですかね?
ただ直接攻撃に出た、こうも取れますし……」

舞台裏から繋がる通路を、慎重に考えながら歩く。
美波の事はルークに任せているんです、此方は何も無いでしょう。
……あくまでも私の考えですが。

(誘いに乗るべきでしょう。
せっかく餌をチラつかれてまで、この私を誘き出したいようですし、素直に乗って差し上げるのもまた一興というもの)

前回の感じでは、あの男では私には勝てない。
手加減をしてあれでしたんです、私が本気を出せば……後は考えなくとも結果は見えています。

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