この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝
「此処から百メートルも離れていない地点。このビルの中層から最上階までが、ツインドラゴンの本拠地になりますコンラート様」
「下層区域は全く関係ないと?」
「はい。一般の商業施設やオフィス……我々が簡単に攻められないよう、一般市民という盾を用いていると捉えてています。くれぐれもご用心を……」
基本的に裏社会は表に手を出さず、これが昔からある不文律。それを利用するとは……。どんな汚い手でも厭わない、面倒ですねカイザーという人間ごときが。
「中層までは普通に行きます。本拠地のテリトリーに入れば、某らのリアクションはある、私はそう思いますからね」
「ごもっともです」
「それとルークにも言っていますが、私のマンションに居る本郷さんと宮野の護衛を頼みましたよ。……一番の問題は、サザンクロスの行方ですか。本拠地とは違う、私はそう思うんです」
「そちらの手配は既に済ませてあります。しかしながらサザンクロス様まで居られないと……」
「今はカイザーの方が最優先。ミングイを助けなければ、サザンクロスが心を痛めますので」
美波が何を考え何処へ行ったのか? 繋がりを薄くされた私では、美波の波動すら追うことは難しい。
考えも無しに飛び出す美波ではありません、確実に引っ掛かる出来事があったのは確かだと思いますが、カイザーを捨て置く訳にもいかず。……参りましたね、また二分することになろうとは。これもカイザーの狙い……かも知れません。