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契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝
「よく来たな、コンラート・ゼクス」
「そちらが誘ったではありませんか。私はそれに乗ったまでです」
「ほう……。この俺を見ても、驚きも怖がりもせん。根性だけは座っていると見る」
「さあ、どうでしょうね? 話は簡単です、ヂャン・ミングイを此方に引き渡して貰いましょう」
「何もなくこの裏切者を引き渡すと思うか? 交換条件は、コンラート・ゼクス貴様だ」
「私を捕まえてどうします? 死の天使にでも売りますか?」
「貴様知ってっ!」
「死の天使には敵いませんかカイザー? 仮にも皇帝と名が付く者が、死の天使一人に振り回される。……滑稽ですね」
初めて動揺を見せましたか。論戦でいえば私の方が上。この見た目と長と続いた知識と経験は、そう簡単に負けることもない。
「黙れっ! この俺が死の天使に敵わないだと? 仕方なくあの男に従ってやっているだけのこと。あんなのは俺の力で造作なく潰せる」
「では何故従うんです? ……死の天使が持つ知識、それが必要だからではありませんか? まぁ、私には不要ですが」
「ああ必要だ、腕力を増幅させるあの技術。ツインドラゴン全員が力を持てば香港はどうなる?」
「……何も。
例えそうなったとしても、何れは潰されてゆく運命でしょう。力で抑圧する世界は長くは保ちません」
「面白い考えだ。だが世は力こそ正義、力の前にひれ伏すしかない一般市民の上に立つのもまた一興」
「私から見れば、くだらない考えです」