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契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝
「そのくだらない事に貴様が付き合うことになる。ティェチン! 裏切者を前に出せ!」
「……はっ、カイザー様」
ミングイを矢面に立たせましたか。前回と違い考えていると言うべきでしょうか?
(考えてみれば、ミン・ロンチャンとカイザーの性格はあまりにも違う。もっと思慮深いのがミン・ロンチャン。この違いは何処から来ています?)
今は……こう半々のイメージを受けるんです。前回は問答無用で攻撃を仕掛けて来たというのに、今回は意外に周到。力でと言うならば、前回と同じように、腕力で私を捕まえようとする筈です。
「こいつを解放してやる変わりに、貴様が此方に来い。それで交渉成立だ」
「もし否と言えば?」
「こいつをダメにして、貴様を捕まえるだけのこと。どの道貴様に逃げ場など無い」
「……なるほど。では私は……『否』と言いましょうか。そして貴方に捕まるほど愚かではありませんよ私は」
「っ! なんだと!!」
「っ! ミングイ!」
カイザーが椅子から立ち上がろうとした瞬間、私の方が先に動く! 多少距離は離していましたが、一足飛びでミングイと初老の男性に近付き、ミングイの腕を掴み共に飛び下がる。
ですが何故です? 初老の男性は抵抗も反撃もせず、私にミングイを渡したんです。
「何しやがってるティェチン!」
「……カイザー様。この男には勝てませぬ、どうかお引き下され」
「貴様が逃がしたせいだろうがっ!」
「反撃したとしても、私めではあの男には敵う事はないでしょう。カイザー様お引き下され、老いぼれの意見を聞き入れて下され」