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契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝

「どういう意味だティェチン?」
「分かりませぬかカイザー様。あの男、依然リュウ・イェンフゥイを奪取したのと同じ男で御座います」
「なんだ……と? あの俺を馬鹿にした奴と同じだと言うのかっ!!」
「稀に見ぬ素早い動き、確かな行動力、間違いありませぬカイザー様。ですからお引き下され、カイザー様では敵いませぬ」

おや、早々に感づかれるとは……。コンラートと仁科では見た目は全く別というのに、このティェチンは見る目を持っているようですね。気が付かれては仕方ありません。

「意外に聡いのが居たようで……。それで? もう一戦やりますか? まぁ、負けはしませんが」
「貴様本当に……。逃げ回るだけで反撃すら出来ん奴に負けたつもりはない!」
「カイザー様!?」
「五月蝿いティェチン! 貴様は何時も、何時も、俺の邪魔ばかりをする! 先代の側近だと大目に見ていたが、この俺に楯突くのであれば貴様など不要! そうそう、レイも今頃どうなっているだろうな。ユウウンだ、鬱陶しいレイを始末する事も考えられるぞ。そして……貴様もだティェチン!!」
「カイザー様!」

ただ見ているだけしか出来ませんが、カイザーはティェチンと名乗る男性をその手に掛ける。首を締め上げ腹に力任せの一撃……あれでは肉体強化をしていても保たないでしょう。
実際ティェチンは口から血を流し、力なくカイザーに壁へと吹き飛ばされた。
幾らか私でも、気付き納めようとする賢人まで手に掛けた事は……無い。だがカイザーは形振り構わず己の欲だけで、この優秀なる僕を手に掛け何も思わない。

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