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契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝

「ぐっ……がぁぁっ!」

『ドンッ』という鈍い音と共に、カイザーは自身が座っていた椅子まで吹っ飛びましたか。拳は正確に入っています、普通は即死ですが……。

「がはっ! こ、こんな力を……隠していやがったとはな……」
「……やはり一撃では無理でしたか。初めてですよ、この技を受けて生きていた者は。私も少々驚いています」
「ざけんなっ! ぐっがはっ」

心臓は破裂出来ませんでしたが、内臓はいったようですね。口から血を吐いているのが何よりの証拠。それにしても内臓とは……何故心臓からズレたのか、そちらの方が気になりますが、無駄な考えは後です。
今のカイザーですと、もう一撃入れれば確実に仕留められるんです。考えよりも行動すべきと、私はまたカイザーに向かって走り出す。

「はぁはぁ……させるかっ!」
「……っ!?」

カイザーがよし掛かる椅子から、スモークのような煙が吹き上げる! 気にせず椅子に向かいましたが……。

「…………居ない? はぁ、この煙が晴れるまで何も出来ませんね」

カイザー気配は……この部屋には無い。後で確認はしますが、恐らく椅子に仕掛けと隠し通路でもあったのでしょう。

「逃がしてしまいました……か。絶好のチャンスをみすみす逃すとは私らしくない」

部屋中が煙に包まれる中、気配があるのは二つ。
一つはヂャン・ミングイ、もう一つはティェチンと言いましたか? 虫の息のようですが、生きている気配はします。

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