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契約的束縛・誘惑なる秘密
第27章 香港―苦痛とメモリー
「ウードゥの記憶? 俺が知った時、ウードゥは既に記憶は無かった。でも、あの時までイン・ウードゥという人物は居なかったのは知っている」
「居なかった、俺が?」
そろそろ1年半か? そんな頃にレンと出会ったが、俺は居心地が悪いあのマンションから、今のマンションに移ったばかりと記憶にある。だがあのマンションは? 誰が用意した? 親と言っても記憶にある限り一度も会っちゃいない。……不自然、あまりにも不自然だろ。
(無理矢理組み合わせたパズル、そんな気がするぜ)
真実は何処にある?
空っぽの中身はどこだ?
一体俺は何をしていたんだ?
(……ピアス……)
金のリングに、金の十字架。その俺に似ている奴が持っていた物……。
『……もっとのた打ち回って死ぬかと思っていたが、意外に何もないものなのか……』
「!?!?」
今……のは……?
朧気に見えるのは、なんの変哲もない部屋。その壁によしかかり、煙草を取り出し火を点けた……?
(これが俺の記憶なのか?)
床に流れる血を見ながら、のんびりと煙草を吹かしているのは……俺。それと共にまた痛み出す脇腹。どうやら記憶と連動しているらしい。という事は、俺は脇腹を怪我し血を流していたのか。
「拳銃、血溜まり、爆発」
この3つのワードは1つ。
サザンクロスが言っていたのと同じもの……まだ曖昧な部分がある。だがな何故が1つと俺の記憶が語ってくるんだ。
初めて見た記憶の片鱗、いい記憶ではなさそうだが、俺の記憶と僅には認識出来る。