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契約的束縛・誘惑なる秘密
第27章 香港―苦痛とメモリー

本当の強者は、ユウウンのように力で人を抑え込もうとはしない。しないと俺は『知っている』。

(……そうだ。世界で一番力と権力があるくせに、それを見せもしない奴)

『……には化け物に見えますかね……』
『そこまでは言って無い……』
『ですが見た事は無いでしょう?
髪色はともかく、こんな瞳は……元海外解放戦線のリーダーさん?』
『俺の過去の経歴も知っていたのか……』
『一通りは……。
経歴を見て面白いと思ったんですよ。だから此処に決めた、それに日本は居心地が良い』

……こんな奴。盟主ってのは不思議な存在だと思った出来事。ただ……心に残ったのは、緋とも金ともとれない赤琥珀の瞳。盟主しか持たない特殊な瞳、そこまで思い出しているというのにっ。

「てめぇから逝くかイン・ウードゥ。望み通りに一撃で殺ってやらぁ! その後にレイ貴様だ。じっくりとのたうち回らせ逝かせてやるよ!」

(ちっ、ハッタリも此処までか。この至近距離じゃあ助からんな)

銃口は狂いなく俺に向いている。鎖で繋がれた俺が、これを回避するのは不可能。もう少しで全てを思い出せる、そう思ったんだけどな。どうやら時間切れらしい。
いよいよと覚悟を決めたその時……!

「……銃を持つ人間は敵、私の大切な人を奪うもの。拳銃を手にする愚かな人間……私は絶対に許さない……」
「……!?」

強固な鎖に拘束され犯されていたサザンクロスが、何故俺達とユウウンの横に立っている!?

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