この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第28章 香港―苦痛とレリース
堕ちなくても、苦痛と快楽は絶えず私を襲う。痛みも変われば快楽とは言うけれど、これは痛みと苦痛しか齎さない、そう仕組まれているのだから。
「おう、2周目いくか?」
「それもいいな。だがユウウン様を見ろ、退屈していらっしゃる」
「不味いな、方法を変えるか?」
……あの人が退屈すると何が不味いの?
一方的な人……少し違うけれど、日本に居た時の東条海里を思い出す。言葉は向こうの方が少しだけマシだった。だけどやる事は同じだと私は思う。そして話が通らないのも同じ、自分の事だけで相手なんて見てもいない。何処に行っても同じタイプは居るんだね。
そんな事を考えている時、不快な『カチャ』という音が私の耳に聞こえて来たの。
(あの音は……拳銃……)
虚ろにウードゥさん達の方を見れば、ユウウンって人が拳銃を出して構えている。
(……拳銃……。私の大切な人を奪うもの。櫻澤さんのように、簡単に命を奪うもの……)
「…………」
私の中で何かが変わる。
拳銃は嫌い。拳銃を使う人間も、拳銃の引き金を引く人間も、それを享受する人間も、全て嫌い……許せない!
(拳銃……人間……排除……。?? 動けない? こんなのは力で壊せば動けるでしょう?)
「…………」
少し力を出しただけで……ほら、動けるようになったよ。でも、誰かが私の邪魔をするの。駄目、邪魔なんてさせないわ。
もう一度、風の力を込めたら、邪魔は居なくなった。
そして私は歩く、あの拳銃と人間を排除する為に……。