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契約的束縛・誘惑なる秘密
第28章 香港―苦痛とレリース
2人が話をしている間に、私はずっと力を使う。傷を治す力は、自然を操るより何倍もの集中力が必要。だって力を込めすぎれば、人を簡単に壊してしまう事が出来る力だから。
「それでいいのかウードゥ?」
「いいのかと問われても、元々そうだったとしか言い様がない。サザンクロスを含む仲間達のリーダー的存在、それが俺だった……かなり個性的な連中だがな」
「そうか……。ウードゥにも帰る場所があった。俺は……どうなんだろう。ユウウンがああも簡単に俺を殺そうとしたところを見れば、カイザー様は俺を切り捨てた……そう考えた方がいいんだろう」
「どの裏社会でも、慈悲なんて言葉は少ない。落とすか落とされるか、この2つしか無いからな」
「ウードゥの言う通りだよ」
「……良いわレンさん。でも後でしっかりと手当ては受けて? 私ではこれが手一杯なの」
話の腰を折るようで悪いとは思ったけど、今はレンさんの傷の方が大事だから、私は敢えて声を掛けた。
「傷口が塞がっている!?」
「正確には塞いだだけ。中の裂傷までは無理だったわ」
「いや、塞がっているだけでも普通に動ける。でもサザンクロス、俺を助けて大丈夫なのか? 仮にも俺は二首龍の幹部候補なんだぞ、あんたを捕まえようとしたんだぞ」
それに私は首を横に振る。
「そんな事は関係ないわ、私は怪我人を放っておけなかっただけ。そこにCross selsもツインドラゴンも無いと思わない?」
「そういやぁ、そんな性格だったな。万人全てを受け入れそうだ」
「でも……怒りに任せてこれをやってしまったのも……私」