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契約的束縛・誘惑なる秘密
第28章 香港―苦痛とレリース
辺り一面血の惨劇、これも今の私。怒りに身を任せれば、私は無意識に人を殺す。怒りは私を冷たい盟主に変える……そう、無意識に。
「そういえば美波、拳銃に異常なほど反応していたな?」
「それは……。拳銃が櫻澤さんを殺した、そう思い込んでいたから。拳銃を見ただけで、無意識に怒りが込み上げてくるの」
「それは俺のせいか」
「櫻澤さんが拳銃で撃たれて、そのせいで櫻澤さんは死んだ。そう考えると自然に怒りに身を任せる私が居るのよ」
怒りに身を任せれば、私は無慈悲に人を殺す。怒れば怒るほど、私は冷酷な盟主になってしまう。今はそれも私の一部なの、盟主という恩恵は私に両刃の剣を齎した。
「だがな美波、俺も拳銃を使う。美波は拳銃を持った俺も殺すのか?」
「そんなこと! 櫻澤さんにそんなこと出来ない」
「だったら深く思い詰めるな。俺はこうして生きているんだ、拳銃は俺を殺しはしなかったと、少しずつでいい、意識を変えろ。でなければ、美波お前は世界中を敵に回す事になるぞ」
「それは……はい、櫻澤さん……」
本当は分かっている、幾ら私が拳銃を持つ人間に怒りをぶつけても、拳銃が無くなる事は無いって。櫻澤さんの言う通りだよ、少しずつでも私の意識を変えていかなくちゃ駄目だって理解してる。もう拳銃を憎む理由も無くなってしまったのだから。
「とりあえず、何時までも此処には居られないぞ」
「これを見て、現実と思う方が難しいよな」
「前に俺も思ったな、だがなこれは現実なんだ。誰かに見付かると不味いだろう」