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契約的束縛・誘惑なる秘密
第28章 香港―苦痛とレリース
「車を出したはいいが、何処へ向かうべきか……。ワン・レンが居る以上、全員が揃うマンションという訳にはいきません」
「そ、そうだよね。本郷さんと宮野さんに説明出来ないよ」
そう、レンが居るのだから、2人の元は駄目。只でさえあんなに落ち込んでいるのに、更に揉め事は持ち込みたくない私の本音。
「Cross selsに関わるCLUB等も危ない。そこそこにツインドラゴンのスパイが紛れ込んでいますので。残るは……そう、イン・ウードゥの為に此方が用意したマンション。あの場所が一番邪魔が入りにくいと思われます」
「俺のマンション? 飛び出す前のか」
「そう。あのマンションには色々仕掛けをしていた。本人が飛び出し無駄になった」
「始終監視かよ」
「身の安全を守る為、最低限の仕掛けをしたのは認める。それに医者も用意したというのに、それすらもかわしてくれた」
「医者? カウンセリングとか言って、たまに注射を打っていたやつか」
「現状何も無ければ問題ない」
ルークと櫻澤さんのやり取りが、私にはサッパリ分からない。隣でレンさんも首を傾げているし、そのマンションは本当に使っていなかったんだ。
車は九龍を離れ香港島へ。
大陸続きとは違い、そこまで大きくはないのに、私も櫻澤さんも同じ場所に居たなんて……。
運命って不思議。縁がある人とは、自然に引かれ合う力があると私は思う。
ウードゥさんとして櫻澤さんと出逢ったのは、偶然ではなく必然。だって初めから知っていたんだもの。