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契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
「…………」
やり方は間違ってはいない、かつてルークに取った方法と同じ。ですが顕現の仕方は個人差が出るもの。
本当は変化の兆しがあるまで待ちたいですが、この拠点が爆破の方が早い。
完全に気を失っている主宰を担ぎ上げ、私はまた屋根の上へと飛び乗った。
「例え塵1つですらも、残す気はありません。全てを無に……それが主宰の意思です」
これにはタイミングが重要。今の風の竜巻から爆破に合わせて火炎と風の刃を付け加える。少しでもズレれば不自然に見える事でしょう。私は細心の注意を払い、ダイナマイトの着火装置に意識を向け、『カチッ』っと、着火の機動音と共に持てる力を全解放する。
「……………」
『ドカンッ!!』という爆音、私が力を加えた事により、遠くまで見える火柱が立つのを、少し離れた場所に移り眺めている私。
此処まで徹底すれば、警察と言えども証拠すら見つけられないでしょう。
「……これで良いんです。暴かれたものは消すのが通り。……全て失いましたが」
主宰も東条海里も消えた日本、この国を仕切っていたCross selsは消えた。それが意味するものは……。
「今は考えるより行動が先ですね。……私の力が保ては良いんですが、危ないラインなんでしょうね」
警察に見付からないルートを見付け、私は拠点から走り出す。場所はそう遠くはない、不安定になりつつある私でも辿り着ける範囲内。……そう、ルークが待機している場所まで移動出来ればそれでいい。