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契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
ルークとの落ち合い場所は県境に近い倉庫、そこが東京から山口県に来ているルーク達の仮拠点となっている。私もこの場所を訪れるのは初めてですが……。
扉を開ければ数名の黒服を来た男性達、勿論見た事はあります。東京支部に在籍する本部遺跡からの階級持ち達ですので。
「盟主!?」
「何を驚いています? 私が此処に来るのは不都合でしたか?」
「滅相もありません! また盟主のお顔を拝謁出来ました事、我々一堂喜びであります」
「ごたくは結構。時間はあまりありません、私が担いでいる男性を休ませる場所、それとルークは戻っていますか?」
「寝台の手配は早急に致します。ルーク様はまだお戻りには……」
「此方が早すぎましたかね?」
慌てる階級持ちを余所に、私は急遽設えた寝台に主宰を下ろした。
(私が誓約してから10分くらい、前例のルークから見ると、そろそろ変調が始まってもおかしくはない頃)
生きて……息をしているのは確認済み、そして受けた傷が塞がっていることも。
それと変化に耐えられるかは別問題なんです。躰の根本から作り変わる苦痛は、美波を希少種にしたのと丸っきり違う。完全に適合し受け入れ変化すると、半ば強制的に変化させる、この差は大きい。
「…………っっ!!」
ビクッと主宰の躰が震えるように跳ねる、そして身をかきむしるように苦しみ出す主宰の姿……。
(始まり……ましたか。受け入れられなければ、死あるのみ)
精神面で言えば主宰ならば乗り越える、そう思いますが、躰までは私でも予測不可能。生きて欲しいと、こんな真似をしましたが、もし失敗すれば……私は美波達に何と言えばいいのでしょう。