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契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
「力を使い過ぎた自覚くらいあります。何度も言っていますが、私は万能では無いですよルーク」
「それは承知していますが、餌の補給の方は如何しますか」
「今はそんな暇も惜しい状況、東京で補給します。それまでは保たせますよ」
「そう……ですか……。
櫻澤と補給の方はお任せ下さい。どんな結果であれ、必ず櫻澤を連れて行きます」
「頼みましたよ、ルーク」
これが山口県での出来事。
この後直ぐに倉庫を飛び出し、盟主のリングを使い検問前で立ち往生している美波達と合流したんです。
誤算は、追っている間に飢えでのバランスの狂いが始まってしまった事、そして美波も力を使い飢えに苦しむ事になってしまった。……これは自分の力を見謝った私のミス、もう少し保つと思っていたのに、予想以上に限界が早く来てしまった。仮眷属の誓約をしてしまったせいで……。
◇
美波達と一緒に東京の支部に逃れた後、落ち着いてから主宰の様子を見る事になりました。
何故かルークは主宰を支部には連れて来ず、私が次に主宰と会ったのは、東京都内にある一般住宅の中。
「どういう事ですか?」
「結論的に言えば、櫻澤は仮眷属として復活を遂げています。ですが反動が大きかったのか……記憶を全て失っている状態になってしまいました」
「記憶が……無い」
そこは一般住宅の普通の部屋。私とルークが中に入っても、主宰は反応しない。
目覚めてはいるんですが、窓を見て無反応、こう言った方が正しいでしょう。