この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
「……ルーク、香港で主宰に似た条件に合う人物を探して下さい」
「香港……。櫻澤を香港へ逃がすと?」
「えぇ。穏やかな地とは言いがたいですが、香港には本部からの支援が期待出来ます。そして主宰自身もアジアン系ですから、香港で生活するのにそう苦労しない、私はそう考えますがね?」
「直ぐに条件に合う人物を探します」
「…………」
運命は時に人の人生を狂わす。狂わしたのは……私、それに責任を取らなければいかない、それが人の道と言うものです。
……こんな考えを持つようになったのは何時の頃か、日本に来てから私の価値観は変わった。人に必要以上に肩入れし、美波というパートナーを得、私は人に近くなったんでしょう。それが悪いとは思わない、逆に人の世界は私にとって心地よいもの……それを教えてくれたのは主宰ですよ?
ですから、私は全面的に手を貸します。
ルークが持って来たのは、最近香港て行方不明になった者のリスト。それを何気に見ていたら、主宰にそっくりな人物が浮かび上がって来た。
『イン・ウードウ』
中国語に直せば、櫻・霧斗。何という運命の偶然だろうか? 世の中には、自分に似た人物は3人は居ると言いますが、彼ほどマッチした組み合わせはそうそう存在しない。
「イン・ウードウ……イン・ウードゥでしょうか。彼の経歴を主宰に直接移します。記憶が無いのは変わりありませんが、身元があるのは主宰に有利に働く事でしょう」
「イン・ウードゥ。それが櫻澤……」
「ルークは香港支部と連絡を取り、主宰のバックアップを……」