この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
失った記憶を取り戻させる事は私には出来ない、人の精神は緻密で無理に記憶を探れば、力により精神崩壊を起こしてしまう。
逆に似せの記憶を持たせる方は簡単、ただ私が覚えた概略を流すだけ。記憶が戻れば自然に自分の記憶が優先になる、そもそもの経験値が違いますので。
「力を封じ、記憶を上書きし、そして数日の間眠らせましょう。目が覚めれば香港、イン・ウードゥとして新しい人生を……主宰」
「全ての手配は自分に……。櫻澤に危険が無いよう手配致します」
「後、定期的な血の補給もです。幾ら記憶が無くとも、躰は仮眷属と変化しています。……飢えれば闇雲に人間を襲ってしまう、それは困りますからね」
「それは、自分と同じ方法と捉えて宜しいのでしょうか?」
「ルークの方が詳しいと思いますよ」
私は人間から直接血を補給しますが、ルークは人間から抜いた血を精製し、高純度の血清を補給します。
一度私も試しましたが、本来の希少種では合わなく、この補給法はルークに一任という事で落ち着きました。今の主宰もルーク寄り、ですからルークに任せるのが一番なんです。
「では力を封じ、記憶を少しだけ弄ります」
主宰に近付き、私が牙を刺した首筋に指を添える。
見たイン・ウードゥの経歴を主宰へ、それと共に仮眷属としての能力を封印。次に目覚めたら普通の人間としての人生が始まる、Cross selsなど関係ない一般市民の生活を……それが私の望む事。