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契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択

俺の替わりに仁科が一歩前へ出る。考えてみれば、昨日ルークから概略は聞いたが、カイザーの方がどうなったのか俺も美波も知らん。更に言えば先ほどの仁科の言葉は、あまりいい感じは受けなかった。

「……金の調教師。カイザー様が誘い出した筈」
「えぇ、ヂャン・ミングイという餌を使ってまで誘われましたね。しかも場所はツインドラゴンの本拠地、下層が一般市民で固めるなど、面倒な手を使っているようですね?」
「という事は本当に行ったのか。それで無傷……」
「無傷ですよ、私もヂャン・ミングイも。ですがカイザーには怪我を負って貰いました。後、いい知らせではありませんが、カイザーを止めようとしたワン・ティェチンは、カイザーの手に掛かり……」
「親父が!? それもカイザー様が……」
「首を掴み吊し上げ、その勢いのままに壁に飛ばしました。その時に致命傷になる傷を負ったものと。カイザーは逃げましたが、最後にティェチンと話す事は出来ました。……心配していましたよ貴方を、自分のようにならなければいいと」
「親父……が……死んだ」

威勢だけは張っていたレンが、急に力を無くした様に項垂れる。そういえばレンは言っていたな、従うのは親父の為だと。その親父を亡くし、逆らう気も失せたのか?

「……嘘は……無いよな」
「私はこのような話に嘘を交えるほど、酔狂ではありません」
「あれだけ尽くしたのに、カイザー様は親父を見捨てたのか。そこまで信用出来なかったのかよっっ!!」

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