この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第31章 香港―男達との再会―櫻澤
「何が……あったんだ?」
「……色々。悪い事も、良い事も、一晩で沢山あったの」
「どちらから先に聞きたいです、本郷さん、宮野?」
良い事、悪い事、沢山か。
ない交ぜだとしたら、俺は悪い方から先に聞くべきだろう。宮野はどうなんだ?
「宮野、どちらを選ぶ?」
「えー! 良い事は後に取っておきたいかなぁ」
「じゃあ、俺と同じ答えだ」
「やっぱりー!」
長年の仲のせいか? こんな時は意見が一致するんだ、大概同じ方を選ぶんだから不思議だな。
「では悪い方から……。
CLUBでカイザーとおぼしき人物が現れましたので、追ってはみたのですが、上手く逃げられてしまいました。それでも深手を負わせる事には成功していますので、暫くは動けないとは思いますよ?」
「後、本郷さん達のナンミンって人の他に、ユウウンとティェチンって人が出て来て、どちらも倒したに……なるのかな?」
「これで四人。そもそもツインドラゴンの幹部は八人、半分は消えた」
「それが悪い事ぉー?」
俺もそこまで悪い状況とは思わないんだが、仁科達に取れば悪い方に入るのか。
「ティェチンはカイザーが殺ったんですよ。自分の部下をアッサリと見放すとは……。私から見て、ティェチンが一番先見の明があったと思います」
「それを見捨てたと?」
「えぇ、本郷さん」
「随分と傲慢だな、そのカイザーという奴は」
「何でも出来るという思い込み……でしょうか?
人というものは地位や力を持つと、そんな思考に走りやすい。……そんな筈が無いのにです」