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契約的束縛・誘惑なる秘密
第31章 香港―男達との再会―櫻澤
「…………」
この手の話は、仁科が一番理解しているんだろうな。
裏の頂点であるCross sels(クロスシールズ)の盟主の立場をずっとやっている筈なのに、地位や力に頼る事が少ないのが仁科。分かっているんだろう、そこまで何でも出来ないと。仁科を見ていてそう思う時がある。
「それにワン・レン……正式名称はワン・レイ、ティェチンの実の息子で、ツインドラゴンの幹部候補でしたが、こちらで保護しています。
同じく保護したヂャン・ミングイと一緒に、安全な場所に放り込んでおきました」
「ミングイって、裏路地の飯屋のオッチャン!?」
「そう、あのミングイさんなの」
「私達に情報を流したのがバレ、カイザーに捕まり餌にされたんですよ。安全を考慮して私が保護した、それだけです」
かなり幅が広い事になっていたもんだ。飯屋というか、情報屋まで餌にするのかツインドラゴンは。あまりにも人を軽視するのがカイザーという男か、仁科とは正反対……とまではいかないか。仁科も敵と見なせば容赦はない、東条海里の時のように……。
「悪いというか、昨日の経緯はこの程度でしょうか?
私と美波が別々に誘き出され、どちらも無傷で帰って来てますからね」
「そうですね仁科さん」
「お二人が何れだけ暴れたかが抜けてる……」
「……ルーク……」
「ルーク、それは言っちゃダメでしょう?」
なるほど、揃って暴れたと言うのを見ると、盟主として暴れたという事になるんだろうな。これは相当荒れたか二人共に?