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契約的束縛・誘惑なる秘密
第31章 香港―男達との再会―櫻澤
◇◇◇
「本当に、本当に、本当ーにっ、主宰?」
「まさか生きていたとは……」
「俺も死んだと思ったな。ついでに記憶が飛ぶは、知らんうちに香港だの散々だったが……事の原因は仁科だ仁科!」
約二年近いのに、宮野さんと本郷さんは本気で驚いてはいるけれど、わだかまりは無いみたい。櫻澤さんは言われ過ぎて渋い顔、これも前にあったよ。……懐かしい。
「助けた、一言で言えばそれに限るんですが……」
「だが、あの時は助けられないと言わなかったか仁科?」
「えぇ、言いました。私が持つ『普通』の方法では、まず無理でしたね。ですから『普通』ではない方法を取ったまで」
「普通じゃない?」
「そんなんあるの仁科ぁ?」
「ありますよ、目の前に居るではありませんか……ルークという見本が」
「……自分……」
矛先がルークに行き、何となく納得している本郷さんと宮野さん。確かルークは自分の躰の秘密を二人に話したと言っていたよ。
「という事は、主宰もルークと同じなのか」
「じゃ、めっちゃ強いじゃん!」
「…………そこかよ」
すっかり忘れていたけれど、本郷さんと宮野さんの柔軟性の良さ! 仁科さんさえ呆れ諦めたくらい、簡単に受け入れちゃうのよね。
「それでも良いや。やったぁ主宰だぁぁー!」
「お帰りなさい……主宰」
「だから泣くなよ……」
男泣きって言うの?
本郷さんは立ったまま静かに、宮野さんは泣きながらソファーから起き上がろうとして……。
「……げっ!?」
「宮野さん!?」
「宮野、怪我人ですよ」
「もう遅い」
「怪我してたのか宮野!?」
……ソファーから落っこちた。