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契約的束縛・誘惑なる秘密
第31章 香港―男達との再会―櫻澤
「いてぇ…………」
「大丈夫宮野さん?」
「美波が受け止めてくれたから、何とか……」
滑り込みで私が宮野さんの躰を受け止めたけど……痛いよねこれ。丁度お腹が下だもの。
「というか怪我は聞いてないぞ仁科?」
「言い忘れてましたか?
二人が外を歩いている所に、タイミング悪くナンミンに捕まりまして……。
ルークが途中で助けに入りましたが、宮野は腹を本郷さんは腕を負傷中です」
「絶対ワザと言ってないだろ仁科ぁー!」
「此方もゴタ付きましたからね」
「み、宮野さん、後で湿布を取り替えよ? 本郷さんの腕も取り替えなくちゃ」
落ちたのを良いことに、宮野さんは私の膝枕から離れてくれず、仁科さんと本郷さんは諦めの眼差し。ルークに至っては呑気にお茶を淹れてるの。何時もの事だけど、それを見て櫻澤さんは胡座を掻いて座り込んじゃった。
「久し振りに会うから、それなりに気を張っていたんだが、そんな気も失せるな。あの頃と変わらず……か、今も居心地が良い場所には変わりはない」
「……くすっ」
「本郷さんと宮野ですからね」
「……お茶、淹れた」
「くすくす……。今はルークもだよ仁科さん?」
「そうでした」
ドイツで再会した時から、わだかまりなんて無い。
それは色々と変わってしまった事もあるよ? でもね、私達の仲は相変わらずで、誰が上とか下とか関係ないんじゃないかな?
私や櫻澤さんが決める、ではなく、みんなで決める、それが私達らしいやり方。
ちょっとだけ、仁科さんが先導しているけど、それだって必要最低限なんだよ。