この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第31章 香港―男達との再会―櫻澤
流石に宮野さんのお腹が気になるので、湿布と鎮痛剤それに冷やす物を追加してお取り替え。本郷さんの方は湿布だけで良いみたい。
一段落付いて、宮野さんが部屋にあるパソコンを持って来た。
「仁科、これ今日の空港」
「空港ですか宮野?」
「ほら、ミン・ロンチャンだったよな、それが国内線に乗る画像を拾ったんだ」
「国内線……中国本土」
「もう少し調べる?」
「……いえ。本土に逃げたという事は、暫く香港への影響力は低くなる筈ですので、捨て置いて構わないかと思います」
「ロンチャン……カイザーが逃げたか。多分に仁科がぶちのめしたせいだろうな」
「そんなところでしょうね主宰。息の根は止められませんでしたが、吐血していた所を見て、内臓は逝ってますよ?」
そう、こんな時の櫻澤さんと仁科さんって、凄く話が合うんだった。どちらも頭脳派で、考え先読みが好きというか得意。だから意見が合うのよね。
「一旦ドイツと言っていたな仁科?」
「最大問題は主宰です。仮の国籍ではドイツ入国が手一杯で日本には入れませんし、なにより力の加減を覚えて貰わなければ、無意識に破壊されますからね」
「だから、また俺かよ」
「んー、こればかりはね、櫻澤さん?」
ミングイさんを連れて行った時、仁科さんは本部遺跡と連絡を取り、櫻澤さん用にピアスを送る事をごり押しした。
今の櫻澤さんは、盟主の仮眷族という立場があるので、賢人は逆らう事が出来ない。来るピアスは司教階級、何かと頼りになる櫻澤さんだからこそ、仁科さんは賢人の一つ下の階級を選んだの。