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華の王妃
第1章 プロローグ
東に位置する大国アルゴスの離宮では夜中から始まった女主人の出産の為に
大勢の医師や女官が寝台の近くに侍り甲斐甲斐しく世話をする。
16歳というまだほんの少女のような女主人は産み月まで続いた重い悪阻に
悩まされたせいか、頬がこけ痛々しかった。
華奢な肢体に腹ばかりが育ち痛みばかりで中々出産が進まないせいか
美しい瞳に涙を滲ませている。
息も絶え絶えに時折呟かれる名前はアルゴス王アトラスの前では禁句であったが
女主人の事情を知っている女官たちは普段のように咎めることはせず
汗を滲ませる額を拭いながら優しく励ましの言葉をかけ続けた。
大勢の医師や女官が寝台の近くに侍り甲斐甲斐しく世話をする。
16歳というまだほんの少女のような女主人は産み月まで続いた重い悪阻に
悩まされたせいか、頬がこけ痛々しかった。
華奢な肢体に腹ばかりが育ち痛みばかりで中々出産が進まないせいか
美しい瞳に涙を滲ませている。
息も絶え絶えに時折呟かれる名前はアルゴス王アトラスの前では禁句であったが
女主人の事情を知っている女官たちは普段のように咎めることはせず
汗を滲ませる額を拭いながら優しく励ましの言葉をかけ続けた。