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華の王妃
第2章 離宮の妃
「近い未来にそなたを迎えに来る。」
乳母の背中に隠れ怯えた顔をする王女の手の甲に唇を押し付けると名残惜しい
気持ちで帰国の途に着いた。
「王女はまだ幼いのだ。成熟するまであと数年はかかろう。」
アトラスは王女の為に後宮に豪奢な部屋を整えさせた。
特に王女の寝室はざまざまな宝石や美しい絹で囲うように命じた。
王女への恋慕を日々募らせるアトラスは1年たち色よい返事のない現実に時折
王女の為に用意した部屋を訪れてはやるせない気持ちをぶつけるかのように
自堕にふけ、絹を敷き詰めた寝台の上で美しい肌身を羞恥に染め快楽に
溺れる王女の姿を想像した。
だがアトラスの願い空しく使者からの返事は大国ルーカスとの縁組が整った
と言う知らせだった。