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華の王妃
第3章 恋する人
艶やかな黒髪と黒い瞳。

夜の神のごとく美しく。

戦の神のごとく猛々しい方だった。


最初は本当に強引で、王者としての自信がそうさせているのだろう。
リンダリアにルーカスや王宮のことを語る様は自信に溢れ
リンダリアに愛を語る様は熱っぽく力強かった。


「私が怖いか?」


いつもどこかしら緊張していたリンダリアに目を合わせ問いかけてくる王の
瞳は真剣で。

答えられないリンダリアに闊達に笑うと


「会うたびに私を知っていけば恐れも無くなる。人はそうやって慣れて
いくものだ。」


「・・・ 」


「だが、そなたに嫌われるのだけは辛い。頼むから嫌わないで欲しい。」


大国の王が小国の王女に嫌わないで欲しいだなんて・・。

やろうと思えばどうにでも出来る力をお持ちなのに。



「嫌い・・では・・ございません・・」


頬を赤らめ小さい声で答えるリンダリアに王は嬉しそうに破顔した。


「そなたの頬に口づけても良いか?」


「いっ・・嫌でございます・・そのような・・」


「そうか。そこまでは慣れてはいないか。」



なら今日はせぬ。残念そうに答えた王は本当に残念そうで不器用な少年そのもの
だったのを昨日のことのように覚えている。





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