この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華の王妃
第4章 ユリウス
少女の信頼を得ることは富や地位を得ることよりも得難いことだ。
ユリウスにすべてを委ね美しい肢体を晒す少女の姿はどんなに汚されても
清廉で美しかった。
肉の交わりよりも確かなもの。
王がどんなに快楽を植え付け肢体を従わせようと決して得られはしないもの。
「っ・・つっ・・う・・ユリウス・・ 」
「ああ・・どうか泣かないで下さい。」
可哀そうに。
幸福の絶頂から不幸のどん底に落とされた姫。
絶望に染まる顔は壮絶なほど美しく儚い中になんとも言えない色香を纏わせている。
それは王が教え込んだ快楽のなせる業なのか、もう二度と会うことのかなわない
王を思ってのことなのかはわからない。
「和子・・ ・・ 」
「しぃ・・いけません・・ 」
「でも・・でも・・ 」
「もうお忘れ下さい・・それが約束です・・ ・・」
「でも、でも、せめて・・瞳の色は・・?」
「約束した筈です。」
美しい眦から流れ出る涙を拭ってやる。
「ここには常に王の目と耳が存在しています。」
耳元で囁くように言えばようやく嗚咽が止まる。
「貴方様次第です。」
「っ・・ ・・ 」
「私が以前あなたに申し上げたことを覚えていますか?あの時より
私は唯一あなたの味方となった。」
だからもう泣いてはいけません。
あなたは母君となられたのだから。