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華の王妃
第5章 王弟
「貴方に泣かれるのは辛いのです。」
自分とそう背丈変わらないの年上の女に恥もなく手を伸ばし抱きしめて
しまったのだ。
変声期前の声と女のような情けない体つきの自分がリンダリアを一人の
女性として意識してしまったのだ。
「も、申し訳ございません・・私のような者が貴方に触れていい
筈がないのに・・つい・・ 」
頬を赤らめたまま謝罪するナリエスにリンダリアはフルフルと首を振って
見せる。
王弟は少女のように綺麗で可愛らしく、猛々しいところなど少しもない。
仕草も上品で柔和であったため王のように怖いという気持ちになるこは
なかった。
それに王弟の気遣いは周囲の者たちのような打算に満ちたものではない。
リンダリアを心底気遣っているのがわかり過ぎるほど伝わる為
逆になんだか可哀そうな気持ちになった。