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華の王妃
第5章 王弟
恋するのに年は関係ない。
少女のようにか細い頼りない自分の手をリンダリアは選んでくれた。
王の訪れのない数夜の中で慌ただしい逢瀬だった。
物慣れないたどたどしい手つきでぎこちない動きで懸命に愛した。
まさに奇跡の数夜だと言っても良い。
まだ13歳のナリエスはあの時一人前の男になったのだ。
あの時姫は自分だけだと言ってくれた。
愛していると、その可愛らしい唇で囁いてくれた。
切なさと愛しさとこの上もない快楽の中でナリエスの愛は究極の形で
実を結んだのだ。
「この命にかえても守り抜きまする。」
このたまかさに訪れるわずかな逢瀬と愛の結晶を守ることが今の私に
出来ること。
ナリエスはそう囁くとリンダリアの許を辞した。