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華の王妃
第6章 後宮
王は一息吐くと寛げた下履きを元に戻しシュザンヌの部屋から出て行った。
これでは本当に欲を吐き出しにきただけだ。
以前のようなめくるめくる快楽の日々はもう1年近くない。
そうあの女が、王妃が来てからだ。
輝くような金髪と緑色の瞳に抜けるような白い肌を持った王妃は
女のシュザンヌから見ても文句なしに美しく愛らしい女だった。
だが女としてはまだ未熟でとてもあの精力旺盛な王を満足させることは
出来まいと考えていた。
顔が美しいばかりで性技の拙い高貴な女ではすぐに飽きてしまうに違いない、
身籠れば王はすぐにでも後宮に足繁く通ってくるに違いないと思っていたが
王は王妃が身籠っても変わらず寵愛した。
王妃の産んだ子は月足らずで生まれたせいか、死産だったという。
今まで散々王の子を始末させた報いに違いない、と真しやかに噂が流れていく。
無論賢いシュザンヌは思っても口には出さなかったが。
王妃の産後の肥立ちは悪く中々回復しない。
それは回復しきらない王妃を王が可愛がり過ぎているせいだと下世話な
噂が飛んだが強ち嘘ではないかも知れない。
王の王妃に対する寵愛は深いを通り超したものがあるからだ。
ただ美しいだけの人形のような王妃に一体どれほどの
魅力があると言うのだろうか。
同じ後宮内に住んでいれば知る機会もあるだろうが大勢の兵と女官に
守られユリウスが付いている今の現状では知る術もない。
一度手の物を離宮に潜り込ませようとしたがユリウスに阻まれてしまった。
王妃付きの女官には後宮の女やその一族に関係のない国内の貴族や
商家の身元の確かな女しか選ばれないと言う。
下賤な生まれのシュザンヌには無理な話だった。