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華の王妃
第8章 女官長

翌朝、女官長はいつもの時刻に王の起床を待つと王が一向に現れない。
宿直の女官に問うと女官レイピアはしたり顔で
「王は未だに王妃様とお休み中でございます」
と報告する。
「朝の政務に遅れてしまわれるではないの。」
生真面目な女官長は洗面道具を用意し自ら王夫妻の寝所に赴いた。
王は王妃との閨の時はほんの些細なことでさえ邪魔が入るのを嫌う。
緊急の要件以外は政務を持ち込むことはしないし、事後の王妃の世話すら
女官にはさせない。
宦官上がりの美貌の医官ユリウスが側に侍り世話をする。
仲睦まじいとは決して言えない王夫妻から絶大の信頼を得ている。
王妃リンダリアから常に一線引かれているような、よそよそしい態度を
取られている女官長としては脅威ともいえる存在だった。

