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華の王妃
第8章 女官長

王同様に誠心誠意心を込めてお仕えしているつもりなのに、日が経つにつれ
やることなすこと空回りしている気がするのだ。
近頃宿直を務めることの多くなったレイピアや若い女官の方が
よほど王妃との仲が良好ではないだろうか。
王を毛嫌いしている王妃は王の信頼厚い自分を煙たく思うのだろうが。
以前はもう少し素直で従順でいらしたのに。
二人目を身ごもられてから女官長に対して我儘になった気がしてならない。
生まれ来る御子の部屋を王妃の部屋の隣にと言われたり乳母は自分で
決めたいと言われたりするようになった。
それだけならまだしも、離宮から出て出産したいと言い出される始末。
実家でお産をすると言うのは良くあることだが王妃には実家はないに
等しい。
この離宮なら万全の体制で出産出来るのに王妃は王弟の屋敷で出産したいと言う。
以前王に連れられた王妃はずいぶんと王弟の屋敷を気に入られたらしいと
後で聞いたけれど。

