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雨 音
第1章 記憶

爽やかで素直でちょっと可愛らしい悠は、うちの会社でもトップクラスのイケメンだと思う。
同期の女の子にどれだけ羨ましがられたか…。
「ん~…」
今日は定時で帰って絵里ちゃんの話を聞く日だったのだが…。
そう思いながら絵里ちゃんの机を盗み見してみるが、集中していて続く様子はない。
しかし、私のその様子に気づいたのか、
「春野のことなら大丈夫ですよ。
さっき『歓迎会の方を優先しましょう』って言ってましたから。」
「絵里ちゃんがそういったのなら参加させてもらうわ。」
「やったぁ!じゃあ俺、早く仕事終わらせてきます。」
「はいはい」
まだ終わってなかったんかい。なんて思って、
ふっ、と笑って言うと、『馬鹿にするな』とでも言いたそうに軽く私を睨んで席に戻っていた。
ちなみに悠くんも仕事の呑み込みが早く、よく絵里ちゃんと張り合っていた。
"いいライバル"という言葉がよく似合うような二人の関係で、
競い合ってどんどんレベルアップしていく二人を見て当時の部長や課長も驚くとともにとても感心していて、
私のことじゃないけどとても誇らしかったのを覚えている。

