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雨 音
第1章 記憶

・・・


「はぁっ…はぁ…」

ばさっと勢いよく起き上がり周りを見渡すと、白と薄い茶色を基調としたシンプルな見慣れた部屋。

荒い息を整えて、もう一度大きく息を吐く。

「夢…か……。」


はぁ、ともう一度息を吐いた後、ベッドの上から見えた空はどんよりと灰色に染まり、少し霧がかっていた。
部屋の中にいても大きく聞こえる雨。


また、ズキズキとした頭痛に襲われる。

「はぁ────…」

頭を押さえながらベッドからおりる。


雨の日の朝は憂鬱以外の何物でもない。
それが仕事の日だったならもう最悪としか言いようもなく、
今日何度目かの大きなため息をついて、顔を洗い朝食を済ませスーツに着替える。


簡単に部屋を片付けてコーヒーをゆっくりと飲んで家をでる。


起きてからもうすでに3時間は立っているはずなのにまだ頭がズキズキと痛む。

「こりゃ酷いやつだな。」

仕事でミスしなきゃいいけど…。

27歳。
アラサーと呼ばれる年になったけど…恋人は仕事、なんて。
一年前に課長に昇進。

「アラサー女が仕事に没頭しすぎかな…。」

歩きながらこっそり笑う。

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