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しょーとすとーりー。
第1章 哲と広瀬。
「他の女の子にでも目を向けて見たら?」
「無理だなあ。今すぐは」
「別に今すぐじゃなくていいじゃん。俺だって次に行くのに相当時間かかったし」
「……そういや、野々村のそういう話聞かないな」
「あんま彼女の話したくないし」
「え、なんで」
「俺がベタ惚れだから」
そう答えてベーって舌を出すと、広瀬はムッとした顔をする。
「別に教えるぐらいいいじゃねえか」
「嫌だね、減る。減りまくる!」
「何がだよ!?」
「色々だよ!」
俺がそう言ってまたベーって舌を出すと、広瀬は一気にビールを飲み干し、ジョッキをガンッと机に置いた。
いや、実際何も減らないんだけどね。
ただ広瀬みたいなイケメンとは会わせたくない。
広瀬は据わった目のまま、ぼそりと呟く。
「……おかわり」
「広瀬、ちょっと飲み過ぎ」
「やけ酒に付き合え」
「付き合ってるでしょ…」
終電で帰りたかったのに、帰れなかった俺をこれ以上どうするつもりなの。
制止も虚しく、広瀬は店員さんを呼び止めてビールを頼んでいた。