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サイレントエモーショナルサマー
第9章 その薔薇の色は、

「ん……あぁっ…あっ…」

だらしなく喘ぎながら恐い恐いと泣くと藤くんは私を抱き締めてくれた。汗ばんだ肌の熱さと匂いにただでさえ白く溶けた頭がぐらぐらと揺さぶられる。

「も、いいですか」
「う、ん…っ」
「恐くないですから。ね、」

キスをしながら絶頂へ向けた速いピストン。必死に藤くんの背に腕を回してしがみつく。好きです、と耳の中にこだましたのは今、彼が言った声なのか判断がつかない。恐いよ、と目を閉じると藤くんは私のナカで爆ぜた。




◇◆




藤くん、と呼びかける。

振り返った彼は私の名前を呼んでいるみたいだけど良く聞こえない。

笑っている筈なのに写真の顔の部分をやすりで削ったみたいに表情が分からない。



隣に並ぶと藤くんは手に花束を持っていた。

言葉なく、それを私の手に握らせる。

薔薇の花束だ。花弁に触れるが、色が見えない。








ああ、そうか、これは夢か。
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