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サイレントエモーショナルサマー
第14章 fantasma
指にまとわりついてくるものは晶の精液だけではないだろう。羞恥に耐えながらなんとか白いものが出なくなるまで掻き出し終わる頃にはだらりと萎んでいた晶のモノがまたも大きくなっていた。

「待って。帰るよね?ね?」
「……ああ」

晶の肩から手を離し、後ずさる。なにを考えているのかよくわからん表情だ。さっさとシャワーを浴びてしまおうと背を向けた瞬間、腰を引かれた。あ、と思った時には硬さと太さを取り戻したモノが無遠慮に入り込んでくる。

「いま…くっ…出したのに…っ」
「勃ったんだから仕方ねえだろ」
「あっ…ちょっ…、はやく…っ」

藤くんに比べたら早漏な方だが、藤くんばりの回復力だ。3度目だというのに先程までよりも太いような気がする。

残酷なことを言うとどちらかと言えば私の方が足が長いので晶との立ちバックは結構しんどい。その上、突き刺さるのは藤くん級のイチモツだ。

これ以上足を開いていたら膝が先にいかれると泣きそうになった頃、晶はまた私の中に欲を吐き出した。

「……ないわ…出させといてまた出すとかないわ」
「あー、悪かったな。お前がエロい顔してんのがわりーんだよ」

ぐったりと浴室に座り込む私に邪魔そうな目を向けながらささっとシャワーを浴びて出ていく横顔。あーすっきりした、と書いてあるようでイラっとする。

「おい、お前早くしろよ。帰るぞ」

むかついたので膣内から、指先まで丁寧に洗っていると浴室のドアを叩かれる。ああ、もう。ドアを開くと同時に腕を引かれ、服を着込んで咥え煙草の晶にバスタオルで身体を覆われる。

優しく身体を拭いてくれるのは初めてのことだ。ぽかんとしていると、なんて顔してんだ、と頬を抓られた。

「お前、ちゃんと生きてんだな」
「はい?」
「うるせえ。早く服着ろよ。おい、もう終電ねえじゃねえか」
「……私のせいではないかと」
「もう一発ぶちこむぞ」
「はい、すみません」

あの頃、彼はこんな風に喋ることの出来る相手ではなかった。嫌われて、放り出されるのが恐くて、どうにか機嫌を損ねないようにとそればかり考えていたと思う。なんだ、こんなことか。もう少し、ぶつかってみていればあの頃の暮らしも変わっていたのかもしれない。
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